風の中にすこしずつ涼しさを感じ、秋の足音が聞こえる今日この頃。スーパーにも豊富な旬の食材が並び始め、食いしん坊にはたまらない食欲の秋の到来です。今月は、そんな食材を活かす和の調味料を使ったお料理とニューカリフォルニアワインのマリアージュをご紹介していきます。

ニューカリフォルニアワインとは、これまでの重厚なフルボディが中心だったカリフォルニアワインに対し、軽やかで飲み心地良く、より土地の特徴を反映させたスタイルのワインのことです。背景にはオーガニックや素材を活かした食文化への変化があるといわれており、2000年頃から少しずつ広がりをみせてきました。特に2013年にアメリカで人気のワインジャーナリスト、Jon Bonneが著した「THE NEW CALIFORNIA WINE」が出版されてからは世界中で新世代のワインとして注目を浴び、その存在を確かなものにしました。

ニューカリフォルニアワインのエレガントな味わいは料理の素材の良さを引き立てる為、繊細さが持ち味の和食とは相性がよく、多くのレストランでも採用されています。

そこで今回はDEAN & DELUCAで揃う和の調味料を使って、マリアージュを研究しました。

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マリアージュ①
野菜と秋鮭のせいろ蒸し    山田製油ごまだれ×ペットナット

ワイン| ビリキーノ/ ペチュラン・ナチュレル    
(産地:アメリカ    品種:マルヴァジア・ビアンカ)
ペチュランとは、「短気な」という意味で、ペティアン(微発泡)と泡の持つフレッシュさをかけた遊び言葉です(輸入元ホームページより引用https://www.ficwine.com/brand/detail_14.html )。アロマティックな香りと柑橘のさわやかさ、舌の上でぷちぷちと弾けるここちよい泡が特徴。無濾過の為、澱によってやや濁りがありますが、それがワインに旨味を与え奥行のある味わいとなっています。せいろ蒸しの具材は、ごまだれにつけて食べます。濃厚なごまの風味に溶け込む柚子の酸味が、柑橘系のニュアンスを持つワインと非常によく合います。また、昆布と一緒に蒸す事で、鮭から感じるほのかな旨味がワインの旨味と同調。せいろ蒸しの魚や野菜は季節に合わせて変えれば一年中楽しめます。

メニュー| 野菜と秋鮭のせいろ蒸し
1. 秋鮭は1口大に切り両面に塩を振り、10分程置いてからキッチンペーパーで表面を拭き臭みを取る。
2. せいろに蒸し布かクッキングシートを敷いて、1cmの厚さに切ったれんこん、サツマイモやキノコを3枚ずつくらいセット。
3. 5~10cmにカットした昆布を敷き、その上に1の秋鮭を乗せる。
4. お湯を火にかけて沸騰したらせいろをセットし中火で10分ほど蒸す。
5. 最後の1分になったらオクラを入れて再び蒸す。
6. ごまだれ:ポン酢を1:1で割ったたれにつけて食べる。割合はお好みで。


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マリアージュ②    豆乳味噌スープ×新世代シャルドネ

ワイン| スクライブ/ エステート    シャルドネ ソノマ・ヴァレー
(産地:アメリカ    品種:シャルドネ)
ニュー・カリフォルニアのワインといえば、まず名前が挙がるのがこのスクライブ。樽の香りなどの厚化粧をしておらず、シャルドネのもつ果実感が素直にそして穏やかに表現されたクリーンな味わい。天ぷら、酢飯、昆布締めなどなど、あらゆる和食に寄り添うポテンシャルを感じます。今回合わせるのは豆乳味噌。豆乳の甘み、味噌の旨味、塩味が混ざり合う滑らかな口当たりのスープに、柑橘系の中でも柚子やスダチのようなやわらかな酸味をもつシャルドネを合わせることで、全体に調和がもたらされます。このスープをベースに鍋にしてもこれからの季節たのしめます。

メニュー| 豆乳味噌スープ
1. しめじ、エリンギ、マイタケなどお好みのキノコをおよそ50gずつ用意する。石づきを切り落とし、割いておく。サツマイモはサイコロ状に皮ごとカット。
2. サツマイモを茹でて火を通しておく。
3. 成分無調整の豆乳200mlに対して水200mlを中火にかける。焦げ付かないように時々まぜながら温める。
3. ふつふつとしてきたらサツマイモとキノコを投入する。3分程煮立たせたら火を弱め白だし大さじ1、味噌大さじ1を入れて味を整える。
4. 器に盛ってから柚子胡椒を小さじ一杯ほど添え、溶かしながらいただく。


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マリアージュ③    生姜焼き×キレイ系シラー

ワイン| パックス/ シラー    ノース・コースト
(産地:アメリカ    品種:シラー)
こちらもニュー・カリフォルニア代表。2000年、まさにニューウエーブと共に誕生したワイナリーです。シラーらしいスパイス感、凝縮感もありながらフレッシュな酸味がピュアさを演出。味禅のたれには梨のピューレとたっぷりの生姜が入っており濃厚すぎないので素材の良さが生きます。生姜のぴりりとしたアクセントが効いた甘じょっぱいタレに、パックスのシラーがもつ明るいスパイス感を合わせることでグラスも箸も止まらないマリアージュになりました。

メニュー| 生姜焼き
1. 生姜焼き用の豚ロース100gを用意、表面に薄力粉をまぶす。
2. 熱したフライパンにサラダ油をひいて中火で焼く。
3. 肉に火が通ったら火を止めて、味禅を50ccほど回しかけ余熱で肉にたれをなじませる。
4. お好みでキャベツの千切りなど添える。


和食の要である旨味とワインのもつ旨味を同調させながら、ワインだけがもつ個性によってアクセントを与え、料理全体が初めて完成する。大変奥が深く、まだまだ深堀したくなる面白いマリアージュでした。DEAN & DELUCAではニュー・カリフォルニアのワインを数多く取り揃えていますので、みなさまも是非試してみて下さいね!