こんにちは。DEAN & DELUCA 福岡店の東です。春の穏やかな陽気と初夏をも思わせる日差しがまぶしい福岡から、4月のテーマ「糸島」についてレポートをさせていただきます。
福岡県外の方もこの地域の名前は聞いたことがあるのではないでしょうか。移住地としても人気高く、今では福岡でおいしいものを食べる・観光すると言ったら糸島にきまっとろーもん!というほど注目されているスポット。都市部から車で30分程度西に移動すれば、そこは日常の上質…今回は、キラキラした海、深緑の山々。漁業や農業、畜産などおいしいものがギュッと詰まった食材の宝庫「糸島」のつくり手さんをシェフ達と一緒に訪れました。
先ず、最初に向かったのは糸島市南風台の『中村福菜園』へ
調理師や牛人工授精師の資格を持ちながら、季節に合わせて約60種類の無農薬野菜をおひとりで栽培されている中村さん。機械は使わずに全て手作業、水撒きを制限するなどして旨味と甘みを凝縮しているそう。そうして手間暇かけて作られた野菜は糸島の自然の恵みたっぷりで、そのまま食べても旨味の強い新鮮で栄養価の高いものばかり。
実際に畑からそのままちぎったホウレンソウを渡されて… 食べたら、もう一同ビックリ!茎を噛んだ瞬間甘みが広がり濃縮された旨み、納得のおいしさでした。
また印象的だったのは、畑に出入りする時に深く一礼。野菜にじっくり話しかけて、念と思いを込めて栽培されている姿。私たちが試食しているところを見ていた中村さんが「良かったな、褒めてもらえたぞ」と野菜に話しかけていた姿を見てなんだかほっこり感動。「食べた人に福を届けたい」という中村さんの思いがヒシヒシと感じられた素敵なシーンでした。
続いて、海から少し離れた二丈福吉地区の山間の細い道を上ったところにある『石井果樹園芸』へ。
冬は暖かくて霜が降りにくく、晩柑類に最適な二丈町で柑橘類の露地栽培をしている石井さん。糸島に昔からある品種は甘夏だったそうですが、石井さんのお父さんが見つけた日向夏と甘夏柑の自然交配により生まれた品種は「糸島はるか」といい、奇跡のみかんと呼ばれています。
石井さんはそんなはるかを大事にするお父さんの思いを継いで息子のように育てているそう。実際の成木も息子さんと同じ年で、子供を育てるように同じ年月を重ねて手をかけてきたという素敵なストーリーも。「どちらも20歳だから今がバリバリなんですよ」と笑顔で語ってくれました。
見た目はレモンのような黄色ですがさっぱりとした甘みで美味しい!!皮に苦味も少なく丸ごと楽しめるはるか。元々の甘さはあるのですが、より甘さを出すために果皮の水分をとばす予措(よそ)という作業をしているそうです。よりおいしいものをお客様に届けたいという石井さんの真剣な眼差しに強いこだわりが伝わってきました。
冬場の収穫期には広大な栽培地でひとつひとつ手作業のため人手もかかり大変。昔は漁業が休業期間になる漁師さんのお嫁さん達が手伝ってくれていたそうなんですが、今や牡蠣小屋がブームとなり、牡蠣小屋の方が忙しくなり収穫のお手伝いまで手が廻らなくなったのだとか…そういう時はシルバーボランティアの方々にお手伝いしてもらい、最盛期を乗り越えて、倉庫いっぱいに積んで(言葉の通り山積みでビックリでした!!)おいしく熟成させるのだそう。
観光地糸島の影響はこういった形でも現れており、伝統を守り続けることの難しさが石井さんの言葉の裏に感じとられました。
そして次に今日のたのしみのひとつでもあった、糸島の端の二丈深江海沿いにあるタイ料理店『ドゥワンチャン』で遅めのランチを。
地元で採れた新鮮な糸島野菜や魚、自家栽培のハーブを使った本格的なタイ料理が味わうことのできる遠方からも足繁く通う人がいる名店です。糸島のことを学ぶのならここは押さえておかないと、と…いやいや、料理を食べる前に人気の秘密がわかってしまいました。
150年前の古民家をリノベーションして、外観ももちろん店内に足を踏み入れただけで本場タイの異国な雰囲気とレトロを感じられます。なんと言っても青い海、青い空、波の音。目の前に広がる糸島の海を眺めながら食べる本場のガパオライスやグリーンカレーはひと際おいしく贅沢すぎるひととき。店内にはサンセットの時間も告知されており、きっと波打ち際に沈む夕日を眺めながら飲むシンハービールは最高なんだろうな…とため息まじりに、一緒に行ったシェフ達を見つめてしまいました。今度はディナーに行かんといかんたい!
そして最後に向かったのは、志摩吉田であまおうを栽培されている『磯本農園』へ。
「あまい、まるい、おおきい、うまい」で知られるあまおうを有機肥料や微生物資材を使用して丁寧に栽培している磯本さん。ミツバチの力を借りて自然受粉を促すなど、イチゴ自身の力で育っていく環境づくりを心掛けているそうです。それを知った後にハウスに入ると実際にミツバチが。日頃は少し怖い存在ですが、しっかり仕事をこなすミツバチがなんだか愛おしく感じました。ズラッと並ぶあまおうの苗は圧巻!訪問した時はお客様がイチゴ狩りを終えた後だったようですが、それでもまだまだ可愛らしいイチゴがたくさん並んでいました。
栽培だけでなくあまおうを使った加工品も販売されていて、それらも全て併設しているカフェの調理スペースで作られていました。カフェの人気商品は、採れたてのあまおうをたっぷり使ったイチゴパフェ。おいしくないわけがない…写真を撮りたい、あまおうを思う存分食べたい、映えたい。しかしながら当然の満席、そして待ちの行列。
摘んでそのまま食べられるイチゴ狩り、採れたてのイチゴを使ったパフェ、そして自分たちで加工して発送…余すところなくイチゴの最高の食べ頃、食べ方を一途に提供している磯本さんに完敗です。
パフェに後ろ髪をひかれながら、泣く泣く諦めて次回のおたのしみとして、私たちは帰路へと着きました。
4月の福岡店と博多店では、そんな糸島の旬の食材をふんだんに使ったお料理やベーカリー、加工品などが店頭に並びます。実際につくり手さんを訪問すると食材の良さはもちろんのこと、それぞれ独自のこだわりや背景にあるストーリー、熱い思いが糸島の空気と共に伝わり、その思いをしっかり商品にのせて多くの人にお届けしたいと改めて実感しました。
今回訪問できなかったところもありましたが、同じ福岡と言えどまだまだ知らないこと、奥が深いことがたくさんあるのだなとこれからの新しい出会いにワクワクする気持ちでいっぱいです。
中旬には採れたての糸島野菜や加工品が天神駅チカでお買いものができるマルシェも開催します。福岡へお越しの際は、ぜひぜひ糸島のお気に入りを一緒に見つけてみませんか。
「ITOSHIMA marché de printemps」
開催日時:4月15日(土)、16日(日) 各日11:00-17:00
開催店舗:DEAN & DELUCA福岡店
出展予定アーティザン : 中村福菜園 / 石井果樹園芸 / John Lemon / 泉屋六治 / ナガミツファーム 他
おまけに…
糸島は酒米の最高峰といわれる山田錦の名高い産地でもあります。今では知る人ぞ知る「田中六五」を地元の山田錦で醸し、名勝白糸の滝の伏流水で仕込み、伝統的なハネ木搾りという上槽法で作り上げる『白糸酒造』があるのも糸島。さすが食の宝庫糸島!糸島の自然と巧みな技術が融合した奥深い日本酒も味わってみたいですよね。
味わえるんです!! 4月は弾けるような若々しさを感じる、新鮮で爽やかなお酒が揃う季節。そんな考えただけでもおいしそうな日本酒の飲み比べが気軽にできる恒例イベントを博多店にて開催。一緒にサケレッツしましょう!
「COFFEE & SAKELETS vol.6 ~カフェで日本酒をたしなむ~」
開催日時:4月23日(日) 13:00-20:00(L.O.19:30)
開催店舗:DEAN & DELUCA博多店
※住吉酒販が厳選した日本酒が10種類以上揃います。