こんにちは、DEAN & DELUCA福岡店シェフの立野です。今年は暑くなる、と毎年のように言われていますが、とうとうその暑さが本格的にやってきました。みなさんいかがお過ごしでしょうか。
いつもはお料理のレシピでブログに登場いたしますが、今回は7月のテーマ「長崎」の視察のレポートをさせていただきます。長崎県は長崎(市内)地域、県北地域、県央地域、島原地域、五島地域、壱岐地域、対馬地域の大きく7つの地域に区分された県。昨年は長崎市内を旅しましたが、今年は県北地域にあたる「佐世保」のおいしいを探索です。

パン&絵画.png 1.03 MBまずは、佐世保市内の『BAKERY COUPE』へ。オシャレな入り口に広くて天井の高い店内。
朝一ともあり香ばしい香りとともに焼きたてのパンがずらりと並びます。ハード系のパンや創作系、食パンなど朝から何も食べていないメンバーはそれぞれ食べきれないくらいのパンを買って車に乗り込みました。

そこから少し山を越えてたどり着いたのはアジフライの聖地とも言われる松浦漁港へ。
ふね.JPG 3.34 MBとにかく広い!! 到着後、なんだか卸業者のような帽子をかぶってキョロキョロしながら早速魚市場内へ。
松浦漁港は最も高度な衛生管理を求められる「EU HACCP」を日本で3番目に取得している衛生管理に意識の高い魚市場。年3回、国からの厳しい検査を受けながら安心で安全な魚を出荷しており、魚のセリも皆さんが想像しているような大きい声を張り上げて行うものと違ってモニター越しにスマホで電子入札をする現代的な入札で行われています。
場内&場外.png 1.05 MB水揚げされた魚は最新の選別機で選別され、荷捌きから出荷まで全て市場建物内で行われます。しかし広すぎる!
外がむき出しだと空気や鳥からの衛生管理を守れないからです。その場内を案内していただいたときは選別作業が終わって間もなくの時でしたが、場内は魚市場独特の生臭さもなくきれいに管理されていました。作業に入る人たちは入口で全身を徹底して消毒を行って中に入るという厳しさ。そのくらい安全に考慮された松浦漁港では1日に2万トンの魚が水揚げされスラリーアイスというシャーベット状の氷で鮮度を保った状態で全国、海外に出荷されます。
今までいろんな魚市場を見てきましたがここまで衛生、設備をしっかりさせているところは初めてでした。市場内で働く人たちの意識の高さに同じ食を扱う者として、非常に感銘を受けました。

鰺フライ.JPG 6.96 MB漁港を出た後、せっかくアジフライの聖地に来たんだからと本場のアジフライを食べに『味楽きらく』に。
「マツコの…」TVでも紹介されたこちらのお店は、一本釣りされたアジを薄めの衣でカリっと揚げ、ニラ醤油を付けて食べます。今まで食べたアジフライとは全然違い、アジの鮮度、旨みがしっかりと感じられ、メンバー全員が感動!これこそ聖地のアジフライ定食でした。

お腹も満たされ一行が次に向かったのは、市内方面へ。山へ山へ… 霧がかかったり、合間にカラッと晴れたり。そんな山の中に何棟も連なったビニールハウスや畑が。『堀内フルーツファーム』に到着です。
ブルべ摘む.JPG 2.87 MBビニールハウスに入ると一面にブルーベリーの木が広がります。甘酸っぱい香りが広がる中、木に近づいてみるとたくさんのブルーベリーの実が可愛らしく実っています。農家の吉田さんから「取って食べ比べてしてみて」と言われ、みんな遠慮なく(笑)ブルーベリーを間近で摘んで食べるという経験がなかったので、たのしいやら、おいしいやら… そして実が小さいので摘むのにドキドキしながら食べてみました。ブルーベリーのしっかりした粒感と甘み、程良い酸味。こんなにおいしいブルーベリーを食べたのは初めてで感動しました。
ハウス内&吉田さんと.png 1.31 MBもともと田んぼだったこの土地は水回りもよく、質の良いブルーベリーが育つそう。オニール、ミスティー、パウダーブルーなど数種類のブルーベリーを栽培し、収穫時期によって甘みが強いもの、酸味が強いものなどその種類が異なります。そして種類の違う木を交互に置く事で受粉させやすくしています。
大量に生産をしている農家では木をゆすって実を落として収穫するそうですが、こちらでは一粒一粒手で収穫しています。この量を、この時期にひとつひとつ… 考えただけで気が遠くなりそうな大変な作業。その大変さがあっても「おいしさ」「安全」「こだわり」といったブルーベリーへの愛情が伝わる吉田さんのお話や優しい表情にも感動。これからはブルーベリーを食べる時、料理する時はそんな生産者の思いに感謝しながら味わいたいなと思いました。

田んぼ道を抜け更に山に入って、次に向かったのは『さとむら牧場』
ushi.JPG 3.04 MB早速、牛舎へ。普段黒毛和牛などの肉牛の牛舎は良く訪問させていただくのですが、乳牛の牛舎はなかなか訪問する機会がなかったのでホルスタインの大きさ、迫力にまず驚きました。一頭で約700kg~800kgという巨体。
『さとむら牧場』には約100頭の牛がいて、牛は常に妊娠している状態で8カ月間搾乳に励み、出産2カ月前に産休に。産後2カ月休んでまた搾乳のお仕事をするという、これを繰り返しながら1頭から1日におよそ30kgの生乳が絞られ牧場全体でおよそ2トンもの生乳が絞られています。そこから検査、異物除去、加熱殺菌などの作業が行われ、販売や学校給食に届けられるということ。
また、こちらでは暑さに弱い牛の為にスプリンクラーをつけたり餌の管理を慎重に行ったりと… わが子のように丁寧に手塩をかけて育てているという里村さんのお話を聞いていると、牛達への深い愛情が感じられました。

チーズ&里村さん.png 1.08 MB次に牛舎のすぐ近くにあるチーズ工房へ。こちらでは新鮮な生乳を使ってチーズをつくられ「Fiore」というブランドで販売されています。
工房の中は1~2人で作業をされているのですが、牛舎から3分ほどで搾りたての生乳を運び、効率よく商品にできるようコンパクト。動きやすいように機材が配置されていて、衛生にも徹底された環境でした。モッツァレラチーズやカマンベール、ゴーダチーズやクリームチーズなど数種類のチーズを味見させていただきました。想像通り… その場でカットしたカマンベールチーズを一口食べた瞬間、しっかりとした濃厚なチーズの味わいの中にクセのない優しさを感じる初めての感覚に感激!他のチーズも同様においしくてびっくり。すぐ横で酪農をしながら新鮮な生乳を使っているからこそ出せるチーズの味わいに一同納得。この抜群においしいチーズをもっと多くの人にも食べてもらいたい、料理にも使いたいと早速頭の中でいろいろと…
帰りには様々なチーズと、このチーズを使ったピザをお土産でたくさんもらってしまいました。大勢でお伺いしたのに快く案内してくださった里村夫妻に感謝いたします。
さとむらチーズ集合.JPG 1.21 MB
九州各地にいろいろと視察に回っていますが、いつも時間に限りがあるなかで、ここもあそこもと訪問したいところばかり。今回の佐世保訪問も盛りだくさんのタイトなスケジュール。しかし、初めての経験も多く改めて生産者の苦労やこだわりを知れてたくさんの学びがあり充実した1日になりました。

ブルーベリーBK.JPG 1.39 MBPPF集合.JPG 2.49 MB今回訪れた生産者はもちろん、いつもお世話になっている方々や新たにコラボレーションする方々など長崎の食やヒトとの素晴らしい繋がりに敬意をこめて。食材に対するこだわりや愛情、そして「おいしい」がたくさん込められた長崎の食材をしっかり料理に変えてみなさんにお届けしてまいります。ぜひそんな思いも感じながら長崎を食で旅して、たのしんでください。

そして福岡店では夏休みに合わせて、毎年恒例の「こおりや」をオープンします。ぜひお近くにお寄りの際はご来店お待ちしています。
こおり.JPG 2.43 MB

ひんやりと旬を味わう、期間限定ショップ「こおりや」
開催日時:2025年7月12日(土)~7月21日(月)12:00-17:00
開催店舗:DEAN & DELUCA福岡店
メニュー:「赤司農園桃のこおり」¥1,450(税込)「高木茶園抹茶のこおり」¥1,300(税込)「ショコラエスプレッソのこおり」¥1,200(税込)