こんにちは、DEAN & DELUCA福岡店の井本です。朝晩が冷え込む季節となりましたが、みなさまいかがお過ごしでしょうか。風が冷たくなり、ようやく秋らしくなってきた11月の福岡エリアのテーマは「熊本」
そこに向けて、まだまだ残暑が続いておりました9月下旬にシェフたちと共に熊本県阿蘇市へ行ってきました。阿蘇市は「火の国」熊本県のシンボル。火山の恵みがもたらす他にないこの土地ならではのたいぎゃ(とても)うまかもんと、そしてここで出逢った素敵なつくり手についてたっぷりご紹介させていただきます。
最初に向かったのは阿蘇郡小国町の『星の和牛』へ。
まず牛小屋前に到着すると、今回案内してくださる佐藤さんと、とっても大きな牛たちがモォ〜モォ〜と元気に私たちを迎えてくれました。熊本といえば、あか牛!星の和牛では300頭もの黒牛とあか牛、すべてを佐藤さんご家族で飼育されています。そのうち15頭程いる母牛に種をつけ、仔牛を産ませて市場に出荷。こちらでは牛の肉質を上質に育てるために、与えている水と餌にこだわっています。お水はミネラルがたっぷり含まれた阿蘇の湧水を掛け流しで。餌には酵素を混ぜ与えることで、胃の中から健康になり肉が柔らかくなってしっかりとした旨みがでるのだそう。
また1番印象的だったのは、小屋から少し離れたところに佐藤さんご家族のご自宅があるのですが、ご自宅のすぐ目の前に産まれたての仔牛が!!!とっても可愛らしい仔牛が数十頭いる小屋がありました。産まれたては人口哺乳で丁寧に、24時間365日、目の届くところで大切に育てています。佐藤さんが深夜自宅で寝ていると、仔牛小屋から鳴き声が聞こえたので窓を開けて見てみると、仔牛が小屋の柵に挟まって身動きがとれなくて困っていたそう。「そんなときも仔牛の元にすぐに駆け寄って救出したこともありましたよー」と我が子のように愛情たっぷり育てているほんわかエピソードに心が温まりました。また、佐藤さんご家族で母牛のお産を手伝うこともあるそうで。日々大切に丁寧にお世話をしていることが、牛たちの優しい表情からもしっかり感じられました。
「あか牛と黒牛が同じ小屋にいますが、喧嘩しないですか?」と質問すると 「一度ケンカした子達は離して仲良し同士が同じ空間にいられるように日々牛が暮らす環境にも目を配っているんですよ」と。1頭1頭にとってストレスフリーな環境をつくれていることも日々真心込めて牛たちに向き合っている佐藤さんだからこそできる育て方だと感じました。
近年、あか牛の上質なサシとしっかりとした赤身のバランスの良さが世界的にも人気上昇中。 「熊本のあか牛」というブランドが世界で需要が高まっているのは、佐藤さんのように牛と丁寧に向き合っている方がいるからこそだと思います。
続いて向かったのが、阿蘇市一の宮でハムやソーセージの製造、販売を行っている『ひばり工房』
お腹ペコペコの私たちは、まず工房の同じ敷地内にある「ひばりカフェ」で腹ごしらえを。ガラスが大きい店内では阿蘇の大自然を一望する絶好のロケーションの中で、ソーセージの本場ドイツの食肉コンテストで金賞を受賞したソーセージを使ったホットドックをいただきました。私が食べた「ひばりドック」は肉汁があふれ出すジューシーなソーセージに、自家製のあか牛ミートソースがたっぷり。これがとても絶品で… また絶対に食べたい逸品です!
食後に工房に伺い、ソーセージを製造している工場を見させていただくことができました。ひばり工房の製品は全て手造り。九州産の良質な豚肉とオリジナルブレンドのスパイスを使用しており、作業工程は全て手作業で行われております。ちょうど見学させていただいたときはソーセージを乾燥しており、とても丁寧な作業現場に一同感動!乾燥した後は燻製、検品、梱包まで全て人の目を通して安心安全に届けられるようにこだわっているとのことでした。
ベーコンは1週間以上冷蔵庫で寝かせて味を浸み込ませているということや、燻製は12時間以上じっくり時間をかけているのだそう。手作業というだけでも時間が必要ですが、さらに1つ1つの工程にもかなりの時間がかかることがわかります。工場スタッフは全5名。厳選した九州産の肉の旨みを十分にひきだすために、お客様に安心安全でおいしい商品を自信をもって届けるために、少人数でも手間と時間をかけて一品一品丁寧に製造している現場がとても印象的でした。元々の肉質がいいのはもちろんですが、スタッフの方の誇りや想いが商品にのせられているからこそ、よりおいしさを引き出しているんだなと作業現場を見て感じる事ができました。
Tips
『ひばり工房』のパリッと芳ばしいスモークハムをお試しください。
「スモークソーセージ」¥1,080(税込)/「フランクフルト」¥1,350(税込)/「チーズフランク」¥702(税込)/「スモークベーコン」¥1,350(税込)
※福岡店、博多店の九州マーケットコーナーにて販売しています。ベーコンやソーセージを使ったデリやベーカリーもたくさんご用意しています!
ちょっと一息。阿蘇の絶景を一望できる展望所で、大自然を身体いっぱいに感じてきました!この日は少し曇り空でしたが…(笑)阿蘇の山々と緑いっぱいの広大な眺めが絶景です!おいしい空気と自然のダイナミックさを感じながら、各々写真をパシャリ…
阿蘇は、約27万年前の大噴火から出来上がった地形により、いまは安定した街となっています。世界最大級を誇る阿蘇カルデラは、火山の噴火によってできた特殊な地層によって雨水がゆっくりと濾過され、ミネラル分豊富な水が地下に蓄えられているのが特徴なんです。約50年かけて地中を通過して湧き出た良質な天然水は、人々の飲料や農業用水にも使われています。阿蘇では、その恵まれた天然水と自然がもたらした地形を利用した農業や畜産が盛んに行われているのも納得です!
さて、大自然と触れ合って心が洗われた私たちが次に向かったのは阿蘇市蔵原にある『阿蘇蔵農園』
さっそくハウスを見学させていただくと、ツヤツヤで鮮やかな緑色の野菜たちがとても綺麗に育っていました。「野菜をおいしく育てるためには栄養豊富な土が欠かせません!」とおっしゃっていた阿蘇蔵農園の阿蘇品さんから、こだわりの土づくりについてもお話しを伺いました。主に使用しているのが、阿蘇の地元の堆肥を熟成させて作った他のどこにもないオリジナルの土。この土を年に数回「エアレーション」という作業で手入れをします。エアレーションとは、専用の重機を土に差し込み空気を送って水はけをよくすることで、土の中の微生物を活性化させる方法。そして、栽培に使用する水は全て阿蘇山から流れる地下水を利用していて、チューブで葉っぱに負荷のかからないように散水し、ハウスの温度管理も地下水を使った天然のクーラーで涼しく保っています。冬は氷点下になることもあり寒暖差が激しいのが特徴で、その環境こそが野菜が持つ本来の甘みを最大限に引き出しているのとのことでした。
更なるこだわりは、完全無農薬で安心安全であること!葉物は特に害虫の被害を受けやすいイメージだったので、どのように対策をしているかを伺うと、「ニームオイル」という植物由来の油で害虫予防をしているとのこと。
また、一度に多品目を効率的に育てるための「ソイルブロック」という土の塊を見せていただき、ひとつひとつ区切りがある土に種をまき一緒に多品種を栽培していて、発芽してから大きい土に植え替えるという工夫をしています。
阿蘇蔵農園の社長は元々個人農家に農業用の重機をレンタルするお仕事をされていたそうで、農家の人を少しでも手助けしたいという気持ちが強い方なのだそう。育てている野菜への愛情はもちろん、働く側にも負担なく持続可能な環境づくりをされており、幅広い想いが詰まった貴重なお話がたくさん聞けました。
阿蘇の自然がつくり上げた阿蘇谷という恵まれた環境と地元の肥料、ミネラルを含んだ地下水と農園のみなさんの愛情をたっぷり吸収した阿蘇蔵農園ならではのお野菜を、阿蘇品さんは「ぜひしゃぶしゃぶにしてそのままの味をたのしんでほしいです」とのこと。しゃぶしゃぶはもちろん、シンプルにそのままサラダでむしゃむしゃと食べたい旨みの詰まった新鮮なお野菜。
そしてなんと、阿蘇蔵農園で収穫された新鮮なお野菜をそのまま使用したスムージーをいただけるショップが農園内に12月頃オープン予定。その名も『Aso Smoothie-阿蘇スムージー』 一足早くその味を体験させていただきましたが、お野菜の甘みが存分に感じられてとても飲みやすい味わい!野菜ジュースと聞くと苦味が伴うイメージですが全く苦味は無く、阿蘇蔵農園のお野菜だからこその綺麗な旨みがギュッと詰まったスムージー。ショップではお野菜の直売はもちろん、野菜を使ったサンドイッチなども販売予定なのだとか。オープンがとてもたのしみですね!!
そして、最後に向かったのは、阿蘇郡髙森町で自家製のお漬物を販売している『阿蘇丸漬け本舗 徳丸漬物』
お店の外観は落ち着いた雰囲気で、店内も古民家風のおしゃれなお店。お店に入るとレジの奥の方に漬物の作業場が見えるのが印象的です。さっそく徳丸さんにお話しを伺いました。
手作り漬物の素材は熊本産の野菜を多く使用していますが、熊本産の無農薬野菜となるとなかなか手に入らないとのこと。それでも無農薬の素材にこだわりひとつひとつ丁寧に手作業で商品にすることにこだわっているそうです。無農薬で育ったお野菜の素材の味を活かすために、自然塩を使用し、着色料不使用。製造から梱包まで全て手作業なので1日に作れる量が限られて大変ですが、代々受け継がれた味を守るために真心こめて丁寧な手作業にこだわっている徳丸さん。店内をまわると様々な種類のお漬物がズラリと並んでいて、梱包もそれぞれ違い、どれもとにかくおしゃれで目を惹きます。
高菜、梅、しょうが、大根に加えて、阿蘇郡高森町特産の「ひごむらさき」なども。特に気になったのが「阿蘇産ゴーダチーズの熟成酒粕漬」 阿蘇ミルク牧場のゴーダチーズを地酒の熟成樽に漬け込んだ、阿蘇の魅力がたっぷりと詰まった商品。味わいもチーズのコクがより引き立っていて、のんべえにはもってこいです!「余った酒粕はお料理の隠し味に。余すことなく使い切るのがおすすめです」と教えていただきました。
スーパーなどに並んでいる漬物は大きなお野菜1本が丸ごと販売されているイメージですが、徳丸漬物では使い切りの小さめサイズも多く並んでいます。これには「一度に数種類楽しんでほしいというのはもちろん、少ない量から試していただいて、また買いに行きたいと思ってもらえたらそれが嬉しい」と販売方法にも徳丸さんのこだわりを感じました。お店の隣にはおいしい漬物でお食事ができる食堂も併設されています。熊本のうまかもんが堪能できる漬物屋さんは、阿蘇に立ち寄ったついでではなく、徳丸漬物へ行くために阿蘇に来てほしいほどに思います!
Tips
『阿蘇丸漬け本舗 徳丸漬物』阿蘇特産のたかな漬けはもちろんチーズまで!お酒の肴にどうぞ。
「昔ながらの阿蘇梅漬」¥702(税込)/「本発酵たかな漬 きざみ」¥540(税込)/「阿蘇だいこん しぼり漬」¥486(税込)/「阿蘇産ゴーダチーズ 熟成酒粕漬」¥540(税込)
※福岡店、博多店の九州マーケットコーナーにて販売しています。
熊本市内とはまた違う魅力がたっぷりな阿蘇。火山からの恵みを利用した豊かな暮らしがそこにはあります。世界のどこにもない阿蘇にしかない環境のなかで、そこに住む方々の沢山の工夫や想いを知ることができました。阿蘇の恵まれた自然があるからこそ出来る味を、みなさまにも存分に味わっていただきたいと思います!
11月の福岡店と博多店では、そんな熊本の旬の食材を使ったお料理やベーカリー、加工品などが店頭に並びます。
今回出会ったつくり手の食材を使って、シェフたちがとても素敵な商品を考案してくれました。熊本の魅力が詰まったうまかもんが沢山出揃う1ヶ月間、みなさまには熊本の自然が漂ううまかもんをたっぷりと体験していただきたいと思います。商品についてはスタッフが丁寧に説明させていただきますので、お気軽にお声掛けくださいね!
ぜひお店でお待ちしております。
そして「HIGO JOURNEY 先行試食会」にご参加いただいたLIGメンバーのみなさま、とても素敵な投稿をありがとうございました。感動でいっぱいです。みなさまからいただいた嬉しい言葉を熊本のつくり手の方々へもしっかりお伝えできればと思います。ショーケースに並んだあのメニューたちにまた会いにいらしてください!
おまけに…
阿蘇蔵農園のビニールハウスの隣で、元気いっぱいに駆けまわっていた鶏がおりました。ん?ニワトリ…?と近くに寄ってみると、スタッフの方がペットとして敷地内で飼っているという軍鶏!広大な自然の中でのびのびと自由に育った軍鶏はとても人懐っこい子でした。
恐る恐る抱っこさせていただき記念に1枚(笑)ばっちりカメラ目線いただきました!これからも農園のマスコットキャラクターでいてほしいです!