こんにちは。DEAN & DELUCA 博多店の髙森です。新しい季節、キュッと気持ちが引き締まる4月が始まりました。皆様、いかがお過ごしでしょうか。さて、福岡エリアの4月のテーマが「WAZZE KAGOSHIMA」ということで、寒さが和らぎはじめた3月上旬にシェフたちと一緒に鹿児島県鹿屋市に行ってまいりました。
鹿児島県大隅半島の中央部に位置する鹿屋市(かのやし)。市街地には商業施設や飲食店等も数多く立ち並び、郊外には農地が広大に広がり、時折牛の鳴き声も聞こえる雄大でのどかな環境。美しい星空、豊かな自然、高品質の黒毛和牛をはじめとする豊かな食も魅力です。今回は鹿屋市役所の方々にご協力いただき、鹿屋市の生産者をご案内していただきましたので、その様子をお伝えします。

みなさんも鹿児島県と言えば、まず思い浮かぶのではないでしょうか… そう、黒豚!! かごしま黒豚の生産から販売を行っている『鎌田黒豚農場』に向かいました。実は私自身、実家が養豚業を営んでいて幼い頃から豚はとても身近な存在。ただ黒豚は未知のジャンル!黒豚と白豚の違い、見た目以外に何が違うんだろう…と、訪問する前から興味津々で心静かに燃えておりました。
鎌田さん.jpg 1.35 MB鹿児島県では、黒豚を名乗る為には、六白黒豚という品種とさつまいもを含んだ飼料で飼育することが条件として決まっています。六白黒豚とは…文字の通り、黒い体に6つの白い箇所(4本の足先、鼻先、尻尾)があるのが特徴で、農場内には餌を自家配合する施設があり配合飼料にさつまいもを加えて独自の飼料を作られています。衛生上の観点から農場内には入れませんでしたが、社長が特別にと子豚を抱いて外に出てきてくれました。
成長過程を話される中で驚いたのが、出荷日齢。だいたい6ヶ月で出荷する白豚とは違い、8ヶ月で出荷されていると!2ヶ月も違うなんて驚きです。中型種にあたる黒豚は、白豚とは成長スピードが違うんだそうです。母豚1頭から産まれる子豚の数も白豚よりは少なく、出荷までに時間のかかる黒豚ですが、生産効率よりもおいしい黒豚を、という考えのもと、飼料の研究を重ねながらこだわりをもって生産されている姿が印象的でした。

次に向かったのは、鹿屋産の牛乳で作る本土最南端のチーズ工房『Kotobuki cheese』へ。
飼料会社が母体で、生産者と消費者を繋ぐ活動としてチーズ工房を設立。大自然でのびのび育った牛の新鮮なミルクからつくるオリジナルのチーズは全国でも既に大人気。コンテナのオシャレな工場に入ると、玄関には賞状がずらり!ネットの帽子をしっかりつけて特別に工房の見学をさせていただきました。
コトブキ店&チーズ.png 1.01 MB目と鼻に飛び込んできたのは、大切に育て上げられたであろう綺麗な表面の色、ふんわり薫るチーズのコク深いかおり… その中でも、鹿児島らしいチーズをつくれたらいいな、との思いでつくられた「カノヤウォッシュ-芋焼酎熟成」に注目。本格芋焼酎で磨き熟成されたチーズで、芋焼酎の麹菌とチーズの菌との相乗効果により複雑な味わいや香りなどの深みが生まれるのだそう。「水分量や湿度、牛のミルクも季節ごとに変化があり、毎回同じチーズを作ることは難しい。毎回微調整の繰り返しです」と苦労も話してくれました。
そして、お待ちかねの試食タイム!そりゃあもう、モチっと感がたまらない、セミハードタイプの「鹿屋のめぐみ」や俄然お酒がのみたくなる白カビの「カノヤホワイト」、出来たての「リコッタチーズ」はとてもフレッシュでサラダにはもちろん、かつお節+わさびともおすすめだとか。クミンが入ったチーズも衝撃のインパクトで相性抜群でした。

次に向かったのは『元幸産業 KAGONMARCHE』。
あんバター.JPG 1.38 MBグローバルGAPを取得されている農場では、露地で、大根、キャベツ、人参、ごぼう、さつまいも、施設でいちごとトマトなどを生産されています。早速、ハウス内を案内していただきました。観光農園をしているので直接口に入れるもの、衛生面には特に気をつけており農薬はほとんど使わず、天敵の虫を入れることで自然のチカラを発揮して対応。日頃は怖がられる蜂も受粉のお仕事に集中… 人懐っこくて、かわいい、サービス精神もおてのものです。そんなトマトハウスでは、低所作業がしやすいようにと伸びる枝を横に巻きつける方法で栽培。トマトの枝は大玉だと13m、ミニトマトは16mくらい伸びるそうです。現地に行って見たり話を聞かないとわからないことだらけ。ひとつの野菜が私たちの手元に届くまで、当たり前ですが、たくさんの工程と苦労もあり、生産者の一言一言が大切な学びの機会となりました。
※『KAGONMARCHE』から届くさつまいも「紅はるかプレミアム」を使って、ベーカリーで一番人気のあんバターサンドをシェフが考えてくれました。4月から店頭販売しますよ。
南橋商事&芋コンテナ.png 1.14 MBそして同じくさつまいもの生産、加工、販売をされている『さつまいもの里 南橋商事』で、さつまいも貯蔵庫を見せていただきました。収穫したばかりのさつまいもは表面が柔らかく、傷がつきやすい為、収穫した芋はコンテナに入れて、一旦40℃の高温の倉庫に置いたあと、13℃の低温で保管。急に温度を変えることで、さつまいもが体を守ろうと表面の傷を治すのだとか。その貯蔵庫でパレットに乗せたコンテナの山が縦に高く奥まで大量にびっしりと。その数、この部屋だけで300t!この山積みのコンテナ、先入先出を想像するだけで管理が大変だぁ…とついつい自分の仕事と重ねて考えてしまいました。さすが鹿児島の名産品、質を落とさず支える貯蔵庫は驚きの規模でした。

2日目の朝、蛍光オレンジのライフジャケットを着用した私たちは、小型船に乗り海の上に。
船上.jpg 1.62 MB『鹿屋市漁業協同組合』のもと、贅沢にも同船させていただき「かのやカンパチ」の養殖場を見学しました。鹿屋市に面している錦江湾は潮流が早く、ミネラルが豊富!深い水深もカンパチ養殖には最適の場所。配合飼料と生エサを船上の機械で混ぜ合わせ、ポポポポポンッと飛び出す粒状の餌に、カンパチは元気よく波しぶきを立てて飛びついていまし
た。
漁場.jpg 3.55 MB鹿屋市漁業協同組合は、世界基準のMEL認証を取得されています。「認証を取るためではなく、日々の行いで取得できた、やっていることの評価をもらえることは嬉しい」という言葉が心に残りました。誇りを持って仕事に取り組まれているみなさんの姿がとても輝いています。港の横には直営の食堂があり、新鮮なカンパチメニューが食べられるそうですが、時間がない私たちは、食べたい気持ちをグッと堪え、後ろ髪を引かれながら…次へ向かいます。

港から少し山を登って『東びわ園』に到着。こんにちは〜、とハウスの扉を開けた途端、目に入ったのは存在感バツグンのびわの木と大きな葉!びわの木は大きく伸びるので、枝を固定して横に広げているそうです。ハウスの奥に案内していただくと、おとうさんがびわの選別をされていました。
ビワ園.jpg 2.87 MBなんと御年94歳!収穫されたびわを丁寧に手に取り、ヘタを切り落とし、小筆で表面をきれいに払って化粧箱に入れていきます。「この作業は譲らないんです」と娘の松浦さん。娘さんが丁寧に摘みとるびわをおとうさんが箱詰めし、親子で連携作業。温かい日差しが降り注ぐハウスの中で、たっぷりの愛情が込められた優しい甘みのびわがすくすくとおいしそうに育っていました。
うどん.jpg 2.09 MBお世話になった市役所の方とはここでお別れ、私たちは垂水港からフェリーで鹿児島市内へ向かいました。フェリー内のうどんは大人気!とのことで、どれどれ実食。やさしいお出汁とやわらかいうどん、非日常を味わえるソウルフード。船内で桜島をのぞみながら食べるうどんは格別!ちょうどお昼時だったということもありますが、乗客のほとんどが船に乗り込んだ途端にすぐ食堂へ向かう程。大人気なのも納得なスペシャルランチでした。

鹿児島市内に行って足を運んだのは、福岡店で取り扱いのある『FUKU+RE』へ。鹿児島県の郷土「ふくれ菓子」をベースに地元の素材を使った蒸し菓子や焼き菓子をつくっています。おしゃれな店内と可愛らしいお菓子たちに女子だけじゃなくシェフも大興奮!シェフのお買い物カゴにはメンバーへのお土産に大量のフクロウのフロランタンがお行儀よく並んでいました(笑) そして、地元の有機野菜や加工品を取り扱う『地球畑』に訪れ、素敵な商品がたくさんあり、たのしすぎてうっかり長居しそうに。足早に『DINIZ COFFEE』でコーヒーをテイクアウトして。バタバタでしたが、おいしいと発見がギュッと詰まった2日間のかごんま味力の旅は終わりとなりました。
今回、鹿屋市役所の方にご協力いただき、たくさんの生産者をご紹介していただきましたが、実は市役所の方とは数年前にシェフがプライベートで訪れた鹿児島の山の中の漬け物屋さんでお客さん同士として出会ったのだそう。数年前の出会いから、たくさんの生産者や鹿屋の魅力に繋げていただき、偶然の素敵なご縁の中で今回も充実の旅・新たな学びを経験することができました。
PPF.JPG 3.01 MBPKF.JPG 6.8 MB4月はお店に入った途端にWAZZE KAGOSIMA!今回出会った、カンパチや黒豚、紅はるかや枇杷など… 味力たっぷりの鹿児島の旬をしっかりご案内していきます。又、下旬には博多店にて恒例の「COFFEE & SAKELETS ~カフェで日本酒をたしなむ~」を開催。通常は日本酒がずらっと並びますが、今回はテーマにも合わせて鹿児島の希少な焼酎もおたのしみいただけます。肴も鹿児島の旬を使ったお酒が進んでしまうメニューが揃いますので、お近くにお立ち寄りの際はぜひ足をお運びください。お待ちしております。

「COFFEE & SAKELETS vol.8 ~カフェで日本酒をたしなむ~」
 開催日時:4月28日(日) 13:00-20:00(L.O.19:30)
 開催店舗:DEAN & DELUCA博多店
 価格:「日本酒&焼酎」¥500(税込)/杯 ~ 「旬のおつまみ」¥550(税込)~
 ※住吉酒販が厳選した日本酒や焼酎が10種類以上揃います。恒例のくじ引きで、素敵なプレゼントを当ててください!