こんにちは、ブログ初投稿になります! DEAN & DELUCA福岡店セカンドシェフの内田です。
爽やかな風と暖かな日差しに、清々しさを感じる季節となりましたが、皆さまいかがお過ごしでしょうか。そんなGWなどで何となくソワソワする5月のDEAN & DELUCA福岡エリアのテーマは、お初となります「佐賀県」!
実は日頃から佐賀のつくり手とは交流があり、私たちにとっても馴染みのある密接な地域でもあるのです。
さて、佐賀県は、北に玄界灘、南に有明海と異なる2つの海に面し、温和な気候と豊かな食材がある魅力的な地域。密接ではありますが、今一度じっくり佐賀の魅力をSAGAすべく、春の訪れを感じる3月にシェフやメンバーと佐賀を巡ってまいりました。その様子をレポートさせていただきますのでお付き合いください。

まず、春休みの影響もあってか、高速道路では渋滞に巻き込まれながらも辿り着いた『道の駅しろいし』へ。
みちのえき.JPG 2.87 MB佐賀県中南部に位置する白石町はレンコンの生産地として有名で、佐賀県はレンコンの生産量が全国2位。そのうち約9割が白石町で収穫されています。店内でもひときわ目立つ場所に、土を被った如何にも掘りたてで新鮮な「白石レンコン」がたくさん並んでいました。
レンコン&たまねぎ.png 2.01 MBまた、佐賀県は全国有数の玉ねぎの生産地でもあり、そのうち約7割がこれまた白石町で生産されています。ちょうど旬を迎えた採れたての新玉ねぎが所狭しと並んでいました。
ほかにも、白石町の肥沃な大地で育った米や新鮮な野菜、果物、花、有明海沿岸でとれた魚介類や海苔など、コンパクトながらも白石町の食材の魅力がぎゅっと詰まった道の駅。近くにあったら通うのに…と、気になる食材をあれこれ買い込み、次の目的地へ向かいます。

白石町のレンコン畑を抜け、次に向かったのは鹿島市にある『たにぐちファーム RICOTOMATO』。
トマト.JPG 3.02 MBさっそくハウスを見学させていただくと、カラフルなトマトたちに思わず目を奪われます。「RIKOTOMATO」という名前には、トマトが苦手な子供から大人まで「RIKOTOMATOなら食べられる!」と言ってもらえる ”とりこ” になってほしいという気持ちが込められているそうです。
赤・オレンジ・紫・緑・黄・ピンクの6種類があり、それぞれのこだわりを聞きながらその場でもぎたてを試食。色ごとに甘みや酸味、果肉感が異なり、一つひとつに愛情が込められていることが、一口食べるだけで伝わってきます。
3月から5月上旬までが旬だそうで、5月には近隣の保育園による収穫体験も行われており、子供たちには、とろけるような食感と甘く濃厚な旨みが特徴のオレンジが人気とのことでした。
たにぐちさん.JPG 2.73 MBトマトがおいしい理由。それは、有明海に近いこの土地は、潮の満ち引きによって形成された「潟土」と呼ばれる、カルシウムや有機物が豊富な栄養価の高い土壌だということ。地下水まで根が届くため、あえて水やりを控えて水分量をしぼることで、甘みを引き出しています。栽培期間中は有機物100%の肥料を使い、できるだけ農薬を使わない工夫をして安心・安全を大事にして取り組んでいる… トマトだけでなくトマトを食べる人たちへの愛情もしっかり感じられました。おいしい理由が奥深い!
また、農家にとって避けては通れない、病気や水害についても。一度病気にかかると、拡大を防ぐために根っこから引き抜かなければならないこと。愛情を込めて育てたトマトを守るため、自然と共存しながらも向き合い続ける厳しさに、改めて尊敬の念を抱くとともに、大切な野菜を扱わせていただいている責任と感謝を強く感じました。

すっかりRICOTOMATOのとりこになったところで、次に向かったのは、嬉野市の『ナカシマファーム』へ。
なかしまふぁーむ.JPG 1.59 MBこちらでは毎朝、搾りたてのミルクを使用してチーズをつくっており、曜日ごとにさまざまな種類のチーズを仕込まれています。日本で初めて製品化され、世界チーズコンテストで銅賞を受賞したというブラウンチーズ。チーズ製造時に出るホエイ(乳清)と生乳を、直火で撹拌しながらじっくり煮詰めていく… とても手間のかかるチーズです。
ホエイは多くの場合廃棄されてしまうのですが、「無駄にしない」そして「おいしいものをつくる」という思いから開発。そんな貴重なブラウンチーズを試食させていただきました。キャラメルのようにねっとりとした緻密な食感に、香ばしい風味と濃厚なコクが広がり、思わずおいしいコーヒーと一緒に味わいたくなるような逸品です。
チーズたち.JPG 2.97 MBそして、できたてのモッツァレラチーズを試食。ジューシーでふわっとした食感で、なんと言っても濃厚なミルクの風味に感動!一般的には、絞ったミルクを一度冷ましてから運搬するため、温度差によって風味が変化してしまいますが、こちらではすぐ裏に牛舎があることで、搾りたての温かいミルクをそのままチーズに加工できるため、ミルク本来の風味を損なうことなく仕上げることができるのです。
ほかにも、みそ漬けモッツァレラや大葉で包んだ青じそモッツァレラ、人気No.1のさけるチーズ、さけるチーズの原型といわれるメキシコ発祥のオアハカチーズ、フロマージュブラン、3〜4カ月熟成させたセミハードタイプの水田のチーズ、白カビチーズなど、さまざまなこだわりのチーズが揃っていました。

なかしまさん.JPG 2.32 MBその日はちょうど白カビチーズを仕込んでいるとのことで、特別に工房を見学させていただくことに。保温して水分を抜き、熟成庫で2〜3週間熟成させることでふわふわとした白カビが生えてきます。搾りたての温かいミルクでつくるので雑味がなく、白カビによる熟成の香り、ミルキーさが際立つのです。

うしたち.JPG 3.53 MBそしていよいよ牛舎の見学。お店のすぐ裏にあり、近づくと「モォー」という声が聞こえてきます。牛舎に入ってすぐ出迎えてくれたのは可愛い子牛たち。そのすぐ隣の牛舎では、成牛たちが興味津々な様子でこちらを見つめています。59頭いる成牛は、毎日朝と夕方の2回、1頭ずつ搾乳機のもとへ移動して搾乳され、搾乳量は1日で約2トン。一頭あたりでは約30kg搾れるそうで、搾乳されたミルクはそのままタンクへと送られていきます。
餌の時間は決まっておらず、朝と夕方に半日分を用意し、食べたいときに食べるバイキングスタイル。奥では、満腹になった牛たちがフカフカの培養ベッドで気持ちよさそうに寝ていました。
牛&堆肥.png 2.06 MB牛舎の奥には堆肥を作る設備があり、掃除で出た土や糞を撹拌し、微生物の働きによって堆肥をつくっています。その堆肥は牛たちの培養ベッド(冬は暖かく、夏はひんやり)として再利用されるほか、稲や麦、とうもろこしを育て、その飼料を牛が食べ、再び堆肥へと循環。そこで、お店の前に広がっていた麦畑を思い出し、「そういうことか」とすべてが繋がりました。
つくり手のチーズへの思いやフードロスへの取り組み、牛に対する愛情をひしひしと熱く感じられました。
さらに、『ナカシマファーム』が経営しているカフェ『MILKBREW COFFEE』では、生分解性プラスチックのカップを使用しており、この攪拌機にかけることで約2週間で発酵し、堆肥として再利用できるそうです。実に素晴らしい循環に脱帽です。

味噌食べ比べ.JPG 3.02 MB続いて向かったのは、佐賀市にある『丸秀醤油』へ。
明治34年に醤油醸造業をはじめて以来、120年にわたり昔ながらの天然醸造による醤油づくりを続けられています。
六代目の秀島さんにお出迎えいただき、店内へ。伝統的な味噌と醤油の試食をさせていただきました。
柔らかく甘みのある米味噌、しっかりとしたコクと旨みのある麦味噌、2種の大豆と8種の穀物を使った十穀味噌は、塩分が控えめで、味噌汁よりも炒め物などの料理に向いているそうです。それぞれの穀物の水分量や固さに応じて、麹のつくり方を変えているとのこと。
キヌア.JPG 1.68 MBそして、丸秀さんを代表する「自然一醤油」は、原料が発酵して柔らかくなったもろみ、それを搾った生醤油は優しい味わいで豊かな風味があります。さらに加熱殺菌することで、より香りが立ち、色味も深くなっていきます。
伝統的な味噌や醤油をつくる一方で、さまざまな素材を使った麹づくりにも挑戦されており、中でもメンバーの興味を引いたのが「キヌア醤油」。日本でスーパーフードという言葉が広まりはじめた約25年前にキヌアを輸入し、試作を何度も重ねて開発。原料はキヌアと食塩のみで、グルテンフリー・アレルギーフリーでありながら、醤油のような香りに加えてキヌア特有の風味も感じられ、初めての味わいに驚かされました。
小麦.JPG 2.61 MB興味深いお話をたくさん聞かせていただいた後、工房を見学させていただくことに。まず目に飛び込んできたのは、大きな釜でした。水に浸した大豆を圧力釜で蒸し、レンガのかまどで直火にかけて炒った小麦を粗挽きにしたものと合わせます。砕いた小麦を蒸した大豆にコーティングすることで、大豆の表面は覆われつつ内部には水分が残った状態になり、そこに麹菌を加えると、菌糸が水分を求めて大豆の内部へと入り込み、発酵が進んでいくそうです。
発酵は湿度ほぼ100%の室内で約3日間。温度は30〜35℃で管理し、上がりすぎないように調整することで、不要な菌の繁殖を防いでいます。
状態を見ながら徐々に混ぜていくことで、もろみへと変化。この段階で乳酸菌などを加える場合もありますが、『丸秀醤油』では何も加えず、自然発酵に委ねているのが特徴です。そうして丸2年という時間をかけて、ゆっくりと菌を育てながら醤油がつくられていきます。
樽&仕込み.png 1.98 MBそしてなんと、醤油蔵も見せていただけることに。ずらりと並ぶ大きな桶に圧倒され、蔵の中には発酵特有の香りが漂い、醤油が育っていることを実感します。
約9,000リットル入る桶からはホースが伸び、空気を送り込んで下から攪拌し、混ざりきらない部分は人の手で丁寧に混ぜています。夏場には酵母によるアルコール発酵が進み、豊かな香りが生まれる。こうした工程を2年かけて繰り返すことで、より奥行きのある深い香りへと仕上げていくのがこだわりとのことでした。
蔵を出て、もろみを絞る職人さんの作業風景を近くで見せていただきました。もろみを布で包んで絞る工程ですが、形の無いもろみを扱うのは至難の業。ピシッと綺麗に包む職人技に、思わず目が釘付けになりました。
田園.JPG 2.77 MBその後、パン屋さん、老舗お饅頭屋さん… 色々寄り道しながらも佐賀の食旅は終了。
今回、佐賀のうまいもんをSAGAしまくって、豊かな自然や人の温かさに触れ、お隣の県でありながらたくさんの発見と魅力を見つけることができました。普段当たり前のように扱っている食材も、生産者のもとを訪れることでまだまだ知らなかったことばかりだと気付かされ、そこで感じたことや得た学びは、何ものにも代えがたいものだと実感。
そんな思いを料理という形にしてお客様へ届けていきたいと改めて感じた今回の旅でした。本当にお伝えしたいことがたくさんありますが、それはまた5月のおたのしみで。




PPf.JPG 2.66 MBBK.JPG 2.03 MB

そんな5月のプロモーションは「EXPLORE SAGA」。今回出会ったつくり手とのコラボレーションメニューが店頭に並びます。佐賀の魅力をたっぷりと味わえるお料理やベーカリー、加工品、新茶など卓越した佐賀のうまいもんが勢ぞろいしますので、お近くにお越しの際は、どうぞお気軽にご来店ください。

おまけに…
ミルクブリュー.JPG 2.08 MB『MILKBREW COFFEE』は、かつて出島と江戸をつなぎ、シュガーロードと呼ばれていた、重要伝統的建造物群保存地区である塩田津にあり、築167年の蔵を改装してつくられたカフェ。伝統的で趣のある外観からは想像できない洗練された店内に驚きました。
『ナカシマファーム』でつくられたチーズやミルクブリューコーヒー、ミルクブリューチャイ、ソフトクリームなど、魅力的なメニューに迷いながらもそれぞれ好きなものを選んでちょっとひと息。濃厚なミルクの優しい味わいに癒されました!佐賀に旅行の際は、絶対に行ってほしいおすすめのカフェです。