こんにちは。DEAN & DELUCA 福岡店の月岡です。今回、私からの初めての投稿は、福岡店と博多店合同で毎月開催している「学び」についてのレポートをさせていただきます。
今まで、新しい商品が入荷するたびに各グループでの勉強会を実施していたのですが、LIGのイベントやワークショップを経験し、皆さんの素敵なブログの記事を読んで、もっと商品の背景や歴史、こだわりを追求したい、つくり手にしっかり寄り添って声を聞き、伝え手としてお客様に「おいしい」だけでなく「その価値」を一緒にお届けしたい、という思いが募り、毎月テーマを決めて「学び」を開催することにしました。
実は、4回目になる今月は、お店のプロモーションが「QUAINT NAGASAKI」ということで、長崎『中嶋屋本店』にて実際に五感でしっかり感じてきた、「DASHI(出汁)とBUSHI(節)」について、歴史を紐解き、深掘りしていくことに。
そもそも出汁とは諸説ありますが、日本は古くから肉ではなく、汁物や野菜を中心とした食スタイルであったことから、淡泊な味わいの素材にうま味を加える出汁が欠かせないものとなり、出汁文化が発展したと考えられます。
そんな歴史ある出汁には、様々な種類があります。
和食の出汁のベースでもある「かつおだし」、かつお節とともに代表とされる日本料理のだし素材である「昆布だし」、そして、かつお節と昆布からとる「合わせだし」、煮て干した魚介類から作られる煮干しからとる「煮干しだし」、さば節やあじ節など、さまざまな節・煮干しをブレンドした混合削り節からとる「混合だし」、干し椎茸を戻すときに取れる戻し汁である「椎茸だし」が主に上げられます。ひと通りそれぞれの出汁について資料を用い、歴史や特徴、うま味についての座学を終え、次はお待ちかねのテイスティング。
「TASTING MENU」8種のDASHI!BUSHI!
『中嶋屋 本店』利尻昆布 / 焼きあご / にぼし銀ダレ / うまかだし混合
『山一』鰹削りぶし / 削りぶし混合
『岡田商店』乾しいたけ
『うね乃』緑じん 洋風ベジ
学んだ様々な出汁の深みを体験するべく、まずはどれが何の出汁なのか…名前を伏せた状態でカップにある8種類の出汁をテイスティングしてみました。まず、それぞれの香りがダイレクトに鼻に伝わり、豊潤さ、芳ばしさ、爽やかさ、甘さ…という奥深い香りの違いに一同驚きと感動!そして、味の違いにもこれまたびっくり!トロっとした昆布だしや、力強い風味のかつおだし、コクのある混合だしなどを何度も比較。昆布や椎茸、野菜の出汁は、香りから違うのでとても分かりやすかったのですが、合わせだしや混合だしの判別にみんなが悩んでいました。いざ答え合わせをすると、「あー!その出汁だったか」「確かにお味噌汁にはこの出汁だよね!」と様々な意見が飛び交って。キッチンメンバーも納得の連続でした。
やはり九州人ともあり、香り・うま味共に「焼きあごだし」はやっぱり最高だよねという声が多かったのも郷土の食文化が根付いているんだなと感動してしまいました。
※画像:長崎県平戸沖で獲れる「飛魚(トビウオ)」を丁寧に一尾ずつ串に刺して炭火焼きにし、平戸瀬戸の清々しい潮風や日光をいっぱい浴びながらの天日干し、自然の恵みをたっぷり吸収した「焼きあご」
九州では、飛魚のことを「あご」と呼ぶのはご存知ですよね?身が硬いので食べるときにあごを使うから、飛魚を前から見たらあごが出ているからなど様々な説があるようですが、「顎(あご)が落ちるほどおいしいから」という説もあるんだとか。
「中嶋屋本店 焼きあご60g」¥756
炭火で焼く「生焼き」手法で焼き上げています。炭火ならではの芳ばしさと上品な香り、うま味が凝縮しています。うどん出汁や煮物など幅広くお使いいただけます。
※福岡店にて販売しています。
テイスティングで、どの出汁なのかを答え合わせした後には、塩や砂糖、レモン汁やスパイスの調味料で各自配合をたのしんで、どんな料理にあうのかと議論を深めました。レモン汁を加えるとサッパリとして「そうめんやカッペリーニに合いそう!」というこの時期ならではの意見もあり、アレンジのヒントになる気づきもたくさん得ることができ、お腹が減るとともに一気に盛り上がりました。
ここで、お店でもおすすめしている『中嶋屋本店』の混合うまかだしと『伊崎洋明商店』島原手延べそうめん、『川添酢造』純米酢といった長崎のうまいもんを集結させた冷麺のレシピをご紹介します。猛暑が続いて食欲がない時に上品な出汁のうま味がきいたサッパリ冷麺をお試しください。
材料 2人分
・『中嶋屋本店』混合うまかだし 2pc
・水 400ml
・『川添酢造』あいがも農法米 純米酢 大さじ1
・『クルメキッコ―』丸大豆醤油 大さじ3
・『伊崎洋明商店』島原手延べそうめん 2束
・きゅうり 薄切り 2枚
・ゆで卵 1個
・プチトマト 1個
・『しも農園』煎り金ごま 適量
・キムチ 適量
レシピ:
1.鍋に水と出汁パックを入れて沸騰させたら、更に中火で5分煮だし、火を止めて出汁パックを取り出す。
2.1の粗熱が取れたら、醤油と酢を混ぜ合わせ冷蔵庫で冷やしておく。
3.1の適量を冷凍庫で凍らせ出汁氷をつくる。
4.大き目の鍋にお湯を沸かし、そうめんを表示時間で茹でる。
5.茹で上がったら、流水でもみ洗いをして粗熱を取って水を切る。
6.2を器に入れ4を盛りつけ、凍った3を散らして、お好みできゅうり・ゆで卵・プチトマト・キムチ・ごまをのせたら完成です。
学びの最後には、出汁をとったいりこやかつお節の出し殻を味付けしたものも試しました。煎り酒やゴマで味付けをしたかつお節を口にすると「お菓子みたい!おやつになるやん」「お酒のおつまみにもよかっちゃない?」「ふりかけやおにぎりの具材でもよかやんね」といった意見が飛び交っていて、今までは出し殻をそのまま捨てていたけれど、今度からは味付けして食べてみようと話していました。
また、学びの中で、かつお節を唐揚げにも…というアレンジ方法も教えていただき、鶏肉はもちろん豚肉や魚介、旬野菜にもカツオ節のうま味が十分に味わえて素材を引き出せるんだとか。個人的にも次回から唐揚げを作るときには、かつお節が必須になりそうな予感がしました。今までは唐揚げにかつお節、という発想がなかったのですが、かつお節をもっと細かく砕いてマリネ液に隠し味のように使ってみるのもいいのかな…それともしっかり風味を感じられるように唐揚げにまぶすのもいいのかな…と沢山意見を交換して、想像が膨らみ、作るたのしみが増えました。
福岡店や博多店で今月販売している「とうもろこしKARAAGE」
ちょうどここでもBUSHIとのコラボレーション!『中嶋屋本店』のカツオ節をたっぷりまとわせて、カリッと揚げた「とうもろこし KARAAGE」は、醤油ベースにニンニクを効かせてマリネ。まさにかつお節がたっぷり使われた唐揚げで、時間によっては手に入れることが出来ないほど、この暑い夏の大人気商品です。芳ばしい風味とカツオの旨みが口の中で広がる、カリカリ!ジューシー!ビールのおつまみにもってこいの夏のKARAAGEをぜひお試しください。
「とうもろこし KARAAGE」¥550(税込)/100g
販売期間|2024年7月1日(月)~7月31日(水)
取扱店舗|福岡店、博多店
最後に…
今回の学びでも味噌汁や煮物、うどんやそばつゆに欠かせない日本の食文化である出汁をそれぞれの特長を知り、たのしみながら、メンバーと協議し学ぶことができました。
今後一人でも多くのお客様に、それぞれの出汁の違いやこだわり、調理やアレンジ方法をお伝えすることで商品の背景とその価値を私たちが感じた感動と一緒に提供できればと思います。