こんにちは、DEAN & DELUCA 博多店の髙森です。残暑がまだまだ厳しい今日この頃、皆様いかがお過ごしでしょうか。さて、福岡エリアの9月のテーマは「豊後の味力」ということで、大分のおいしいを探究すべく、太陽の日差しが刺すように強い真夏の8月上旬にシェフ達とともに東に車を走らせ、大分県を巡ってきましたので、その様子をレポートさせていただきます。

最初に向かったのは、杷木インターを降りて日田市へ。カーナビにも出てこない山並みの中、ようやくたどり着いたのが、山の大自然に梨の木がズラッと並ぶ『芳香園』。
ナシ園.JPG 8.01 MBまず日田市とは…。福岡県と熊本県の境にあり、周囲を山に囲まれた盆地ではありますが、天領水として名を馳せる地域。「水が磨く郷」と言われるほど良質な水に恵まれ、日本酒や焼酎、ビールの醸造も盛んで豊後の小京都「豆田の町並み」は江戸時代中期からの町家が観光地としても有名です。DEAN & DELUCAでも日田と言えば、クレソンやジビエでお馴染みですが、今回は秋の大分の旬、和梨に注目!
そんな日田市の山間部で梨の露地栽培をしている『芳香園』では、豊水や幸水・愛宕にあきづき等、時期に合わせて6種類もの品種を作られているそう。昼間は太陽がたっぷりと降り注ぎ、朝夜は盆地特有の寒暖差が激しい環境のため、糖度が増して甘くてジューシー、濃厚で旨みがしっかりした梨が育つんだとか。さっそく柵をくぐり、梨の園へ。
見渡す限りの梨の木。初めてこんな間近に梨の木を見たのですが、枝が逞しく伸びていて想像よりも大きいことに驚きました。1本の木に約500個の実ができるそうなんです。その木が1・2・3・4・5…奥まで続く梨の木を数えて、ついつい計算してパニックに。そんなたくさんの実や木の状態チェックも毎日欠かさず、実が触れるワイヤーにはクッション材が巻いてあり、実が傷つかないようにしっかりと守られていました。そして梨1つ1つに袋かけをする…想像するだけで気の遠くなる作業。梨園の中にはたくさんの優しさが散りばめられており、この手間暇がおいしい梨を生み出していることを実感しました。

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このように収穫までも時間もかかり丁寧な手作業で育て上げるため、少しでも負担がかからないようにコンパクトな樹形の改良(わい化栽培)にもチャレンジされているのですが、イノシシとの闘いに苦戦されているんだとか。自然との共存の難しさを話されている中でも終始笑顔で梨のことをおもう3代目中間さんの人柄に感銘!すっかり長居をしてしまいました。
「日田和梨とかぼすの秋色スカッシュ」キリっとした喉ごしに梨の風味と甘みが引き立つ秋のドリンクが博多店で味わうことができますよ。

そして、突然のスコールに見舞われながら向かった先は、別府市にある『かぼす本家』。
さすが温泉の街、至る所から湯気が立ち上がっていて、窓を閉めている車内にも硫黄の香りが入ってくるほどです。雨でカボス畑や工場は見学できなかったのですが、美しい自然の中にある自社農園で育つ「別府湯けむりかぼす」でつくる様々な加工品についてお話を伺いました。除草剤は一切使わず、草刈り作業を繰り返し、土を育て丁寧に手作業で栽培。そのままの果汁や七味、ドレッシングやサイダー等、カボス本来の旨みや香りが詰まった商品が勢揃い。そこでシェフが思いついたのは「大分ヒラマサとかぼすのカルパッチョ」。これは間違いないですね!

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また、大分県と言えば「柚子こしょう」。九州ではワサビよりも使われている?という家庭に必ずあるオールマイティーな辛味調味料。豊かな香りひきたつ青ゆずとピリッと辛い青唐辛子を塩蔵ブレンドした「青柚子こしょう」はDEAN & DELUCA でも人気の高い商品。ぜひチェックしてみてください。

Tips:
DEAN & DELUCA    青柚子こしょう


次にお腹を空かせた私たちは、大分ならではのお弁当を作りたいというシェフのリクエストに応えて、大分の郷土料理とり天発祥の店『東洋軒』へ向かいました。平日にも関わらず、お店の外まで大行列!店内に入ると有名人の色紙がずらり、期待が高まります。

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注文したのは、とうぜん本家別府とり天と本家柚子とり天。カラリと揚がった2種類のとり天は「お好みで酢醤油とからしでどうぞ」とおすすめされたのですが、鶏モモ肉に醤油とにんにくの味がしっかり染みているジューシーなとり天はそのままで十分。柚子とり天は塩味ベースで昆布だしと柚子の香りが爽やか。サクサクでごはんがススムのはもちろん、キンキンに冷えたビールが合うのは容易に想像できますね。(笑)別府冷麺も最高においしゅうございました。
シェフ考案の9月のお弁当は「とり天とり飯豊後のわっぱ」。大分名物がたっぷり詰まった大満足なわっぱ弁当!大分郷土の味力を存分に味わえます。

次に市内にも関わらず山の中へと車を走らせ到着したのは、「むかし野菜の邑」という自然循環農業の方々が集まる大きな農園へ。お野菜のコトならと、基幹農園にあたる『佐藤自然農園』へ案内していただきました。

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佐藤さんは銀行を中途退職し、小さな畑で農業を始められました。最初に実った野菜の味が薄く、食感も感じられなかったことに疑問を抱き、小さい頃に食べていた野菜の味を再現するため、微生物の専門書や農業本を読み取り、まずは土づくりから始められたそうです。化学物質を入れない全て自社で作った施肥した土壌にこだわり、身体が喜ぶ完熟野菜を追求。試行錯誤の日々の先、努力と想いが実を結んだ野菜たちは、キラキラして鮮やかで瑞々しいこと!そんな完熟野菜を横目に炎天下の中、シェフは佐藤さんのお話に無我夢中に。「野菜本来の味を活かした料理を作ってほしい。」
佐藤さんのおもいはシェフに託されました。
佐藤さんなす.JPG 7.24 MBこちらは、パープルクララという可愛らしい茄子。火を通すととろけるようなクリーミーな食感でミネラル分たっぷりの自然そのものを味わえるんだとか。
園内には、直売所もあり毎日色々な種類の採れたて野菜が並ぶそうですが、訪問時は既に売り切れ。県外からの問い合わせも多いようで、草木堆肥による低窒素・露地栽培野菜に興味を持たれる方が増えたそうです。

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最後に氷で冷やしたトマトをいただきました。玉ねぎのドレッシングかけてる?って思わせんばかりの酸味と甘さのバランスが絶妙で、暑さでヘタっていた私たちには最高のご褒美。外での丸かじりはおいしさもひとしおでした。
皆さんの人柄はもちろん、トマトのおいしさも、天日干しされた手づくりの梅干しも田舎のおばあちゃんの家にいるような…昔なつかしい風景でホッとした時間をも過ごすことができました。

最後は、大分市街に戻ってDEAN & DELUCA九州マーケットでもお馴染みの『大分製餡』へ。

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ここにあんこの工場が!?って少し驚きの、車の通りの激しい大通りに面したところにある『大分製餡』。こちらでは、日本という風土の中で育まれた餡(あん)を着色料、保存料、漂白剤等の添加物は一切使用せず、あんこ練り全てを機械に頼らず、手作りならではの優しい風味に仕上げています。DEAN & DELUCA で販売している「匠のつぶあん」はコクがあり飽きのこない甘さの上質な粒あん。今回はベーカリーにもたっぷり使用させていただきました。
工場の隣にあるおはぎとあんこスイーツの専門店「みつあん」を目当てに急いだものの、完売してお店は閉まっていて。今度は絶対に早い時間を狙って行くぞ!

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源泉数、湧出量が日本一である温泉地であり、一年を通して山と海の幸が溢れる食材の宝庫である大分県。
魅力がたっぷりでやはり1日では周りきれませんでした。帰り道に立ち寄った別府湾サービスエリアで、「関あじ関さば館」「安心院のワイン園」も行きたかったなぁ…と別府湾の向こう側に後ろ髪を引かれながら、きれいな青い海を目に焼き付け帰路につきました。

太陽の光と広大な大地、自然の甘みと磯の香り、「豊の国」の名のとおり大分はうまいもんばかり。9月の福岡店と博多店ではそんな「豊後の味力」が詰まったお料理やベーカリー、そして職人の技術が吹き込まれた加工品が並びます。
今回現地で見た地域特性を活かした旬の野菜やフルーツが、形を変えて店頭に並んでいてとてもワクワク。1か月間、大分で感じた思いとともに大切にお届けしていきたいと思います。ぜひ、味わいに来てください。