ここ数年ですっかりその地位を獲得した、オレンジワイン。今回はそのオレンジワインとお料理のマリアージュについて解説します。
まずはじめに、オレンジワインとは何かという事についてお話します。オレンジワインは白ブドウを使用したワインなのですが、普通の白ワインが果汁のみを発酵させるのに対し、皮や種を浸け込むという製造工程を辿って作られています。その方法は主に2種類あります。

■スキンコンタクト:白ワインに使われる製造方法で、果汁を発酵させる前に皮や種を一緒に浸け込みます。
■マセラシオン:赤ワインに使われる製造方法で、ブドウの皮や種を果汁と一緒に浸け込んで発酵させます。


浸け込む期間は作り手さんのスタイルによって様々。スキンコンタクトはもともと白ワインの製造方法なので、スキンコンタクトを採用しているからといって必ずしもオレンジワインにカテゴライズされるわけではありません。また、マセラシオンを施しているものの方が色合いも濃く、味わいも複雑になります。

オレンジワインと名乗るための明確な基準はなく、あくまでも製造方法によるものなので、ワインのラベルに「オレンジワイン」と書いているわけではないのです。お店で探す場合は店員さんに聞くことをお勧めします。

オレンジワインの魅力はなんといっても、あらゆるお料理に寄り添う万能さにあります。エスニック料理から和食に至るまで、まさにワイン界のオールラウンドプレイヤー!皮や種から抽出された渋味や旨味による複雑な味わいは、お料理とのペアリングの幅を広げてくれます。その個性的な味わいは単体で飲むよりも、お料理と一緒に楽しむ事でその醍醐味を堪能することができます。

今回、そんな万能選手の最大の特徴である「旨味」に着目し、オレンジワインのタイプ別にペアリングをしてみました。

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マリアージュ①
・柑橘系さわやかオレンジワイン×ホタルイカとタケノコの和風アヒージョ


ワイン |  フォリアス・デ・バコ/ ウイヴォ・クルティド 
  (産地:ポルトガル    品種:モスカテル)

メニュー  |  ホタルイカとタケノコの和風アヒージョ
1.ニンニク一片を薄切りにし、オリーブオイル(100cc)、京だし(小さじ3)、細かく切ったセミドライトマトのオイル漬け(2個)をグツグツと煮込む
2.ニンニクの香りがたってきたら処理済みのホタルイカ(6杯)とタケノコ(水煮・1/2個)を投入し、最後に塩で味を調整したら完成

Tips!
カツオと昆布の旨味が効いた京だし、ホタルイカの旨味とオイリーさが、柑橘系のさわやかな苦みと酸味が持ち味のオレンジワインにぴったりあいます。ドライトマトがよいアクセント。普通のフルーティな白ワインでは難しい組み合わせもオレンジワインなら最高のマリアージュに。





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マリアージュ②
・アロマ華やか味わいスパイシー系オレンジワイン×エスニック冷しゃぶ


ワイン  |  シファニ/ パラシャク   
(産地:チェコ共和国、品種:ウエルシュリースリング、パラヴァ)

メニュー  |  エスニック冷しゃぶ
1.タイスキ鍋の素にナンプラー(小さじ1杯)混ぜ、ゼラチン(ゼラチンリーフ3g)で固めてジュレをつくる
2.豚バラ肉(100g)で冷しゃぶを作り盛り付け、ジュレをたっぷり絡ませる
3.どっさりパクチーをかけてライムを搾り、お好みでごま油(小さじ0.5杯くらい)をかけたら完成

Tips!
ワインにあるスパイシーなニュアンスが、エスニック料理と好相性、パクチーの香りを活かしてくれます。透明感あるワインの酸味とライムの酸味の組み合わせも◎。こちらのオレンジワインは餃子やシュウマイ、グリーンカレーなどとも合いそうです。





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マリアージュ③
シェリーのような芳しい香り、味わい凝縮系オレンジワイン×短角牛ブレザオラとルッコラのサラダ


ワイン  |  ダリオ・プリンチッチ/ リボッラジャッラ 
  (産地:イタリア、品種:リボッラジャッラ)


メニュー  |  短角牛ブレザオラとルッコラのサラダ
旨味×旨味=旨味!!短角牛のブレザオラ、ロディジャーノ、ルッコラ(全てお好みの量)をエキストラバージンオリーブオイルでさっと和えるだけ。塩も胡椒も必要なし。

Tips!
牛赤身の旨味、チーズのミルクの旨味にルッコラのほろ苦さがアクセント。旨味強めの一皿を活かすのは厚みのあるオレンジワイン。これぞマリアージュ!と叫ぶ事間違いなし。他にもサバの味噌煮や、鶏の塩こうじ漬け焼きなどにも合いそうです。個性が強いのに料理を活かすという、レベルの高い一本です。





「旨味」とは、単純に味の濃さでは説明できない奥の深いもの。オレンジワインの独特の旨味が和食や中華、エスニックとの相性がいいのは、料理のベースに出汁の旨味があるからかもしれません。

初めて飲まれる方は、白ワインのスムースな味わいとは全く違う味にびっくりするはず。でもお料理とのマリアージュの幅の広さを一度知ってしまえば虜になりますよ。
是非一度試してみてくださいね!