新緑の緑も徐々に濃さを増して、季節が夏に移ろい始めているのを感じる今日この頃。白ワインをきっちり冷やして飲みたくなりますね。

前回に引き続き、アルザスワインを深堀りしていきたいと思います。

今、大阪で開催されている万博のフランスパビリオンで、なんとアルザスのワインが紹介されております。フランスのワイン産地が国際博覧会のパビリオンに加わるのは初めてのことらしく、世界中からアルザスワインに注目が集まっています。

アルザスは、生産量のほぼ90%が白ワイン、残りの10%で赤とロゼが構成されるほど白ワインが主流なのですが、その個性は千差万別。あたたかく乾燥した気候と、モザイクと呼ばれるほどの土壌の多様性がワインのスタイルに幅を持たせています。

先週名古屋店では、アルザス地方から生産者が来店し、セミナーと店頭試飲販売の二本立てでのイベントを実施しました。特集したのは日本初上陸の「ドメーヌ・キレンブール」。グランクリュの畑に特化したワイナリーで、フランス国内で高い人気を誇っています。セミナーでは、ゼネラルマネージャーであるサミュエル氏が自分の畑から持ってきた土壌の土と石を使ってキレンブールの魅力を熱く語り、参加者の皆様は真剣に耳を傾けていらっしゃいました。この日の為に、特別に用意したお料理をワンプレートにして、5種類のワインとのペアリングをおたのしみいただきました。

店頭試飲販売も多いに盛り上がり、多くの方にアルザスワインの魅力をお届けできたイベントとなりました。

今回のブログでは、キレンブールのワインの中から、アルザスを代表する品種から造られた3本をチョイスし、DEAN & DELUCAならではのペアリングをご紹介したいと思います。

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マリアージュ①
・クールビューティーなリースリング×生ハム


ワイン |  ドメーヌ・キレンブール    リースリング    テロワールS
(産地:フランス、アルザス    品種:リースリング)

特級畑「シュロスベルグ」のブドウ使用。やわらかい表土の下に花崗岩があり、そこに根が到達してミネラル分を吸収します。石は熱を保つので、ブドウがしっかりと熟すのを助けます。2017年ヴィンテージで熟成感もたのしめて今飲み頃!リースリングの華やかな香りに加えてシャープな酸、しっかりとしたミネラル感、厚みがあり、引き締まった体躯が魅力的なクールビューティーな雰囲気です。合わせるのは名古屋店で定番の人気を誇るフランス産の生ハム「ジャンボン・アルデュード」。チーズのようなコクがあり口溶けが最高。それにふわふわに削ってあるロディジャーノ・ラスパをたっぷりと、バルサミコソースをかけたものを一緒にいただきます。グランクリュでかつ熟成を経た厚みのある辛口リースリングに、まったりとクリーミーな生ハムがよく合います。バルサミコの甘すっぱさも、全体のまとまり良くしてくれます。

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マリアージュ②
・華やかシルヴァネール×鶏むねグラチネ    空豆&リコッタファルシ


ワイン| ドメーヌ・キレンブール/ シルヴァネール    テロワールB
(産地:フランス、アルザス    品種:シルヴァネール)

特級畑ブランドのシルヴァネール使用。シルヴァネールはアルザスでも5%程しか栽培されておらず貴重な品種だとの事。今再びその魅力が再発見されている注目株です。熟したフルーツ、黄色い系の果実の香り。密度が高く奥行があり、複雑な味わい。ふんわりとした可憐さ、丸みもあり先述のリースリングとは対極な印象です。「シンプルな料理よりも味わいの構成が複雑なものがよい」とのサミュエル氏のアドバイスに従い、名古屋店のデリコーナーより、鶏むねグラチネ    空豆&リコッタファルシをチョイス。リコッタチーズと空豆の旨味、胸肉の上にのせたベーコンの塩味がほどよい一品。シルヴァネールの果実味や奥ゆかしさを引き立てるペアリングとなりました。

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マリアージュ③
・ゴージャスなゲヴェルツトラミネール×マンステール


ワイン | ドメーヌ・キレンブール/ ゲヴェルツトラミネール    ロシェ・グラニティーク
(産地:フランス、アルザス    品種:ゲヴェルツトラミネール)

特級畑シュロスベルグのブドウ使用。晩熟でボトリティス菌(貴腐菌)もついていたので甘さも表現されたそうです。厚ぼったいボテボテのゲヴェルツ多い中、花崗岩由来のしなやかなミネラル感と芯のある酸味が最高のバランス。バラ、百合、ジャスミンといった、うっとりする花束のような濃密な香り。こちらにはアルザスのウオッシュチーズ、マンステールを合わせます。強めのウオッシュの香りが鼻孔を貫きますが、中身はナッツのようなコク、甘味も感じマイルドな味わいです。ゲヴェルツトラミネールのもつ華やかな香りと重ためのテクスチャーが、ウオッシュのまったりした食感とフレーバーに良く合います。


知れば知るほど深みにはまるアルザスワインの世界。白ワインだけでコースができてしまうくらい表情の違うワインにとても面白さを感じました。機会があれば万博も覗いてみたいと思います。ちょっと手の込んだお料理と一緒に時間をかけてたのしみたいときに、上質なアルザスワインを選んでみてくださいね。